はじめに
結論として、大体は「Webサーバー、DBサーバー→gp3、高機能DBサーバー・重めの処理→io1/io2、大容量サーバー→st1」を選べばいいです。
本記事は以下のような方におすすめです。
- AWSを学習している初心者の方
- EBSの性能や用途ごとのストレージタイプを知りたい方
- 最適なEBSボリュームを設定したい方
EBSはEC2インスタンスのデータを保存するためのストレージサービスです。それぞれの性能やコストが異なるため、システムのパフォーマンスやコスト効率に影響してきます。
この記事ではEBSの概要と各ストレージタイプについてわかりやすく解説していきます。
EBSの概要
EBSはEC2インスタンスに接続して使用するブロックストレージサービスです。
特徴として以下が挙げられます。
- ブロックストレージ
- 高い柔軟性
- 永続性
- バックアップ機能
ブロックストレージ
ファイル単位ではなく、ブロック単位でデータを保存するため、高速な読み書きが可能です。
静的ファイル、ログ保存等、様々な用途で利用できます。
高い柔軟性
必要な容量や性能に応じてストレージタイプを選べます。
EC2インスタンスにアタッチ・デタッチでき、スケールアップ・スケールダウンが可能です。
永続性
データはEBSボリュームに保存され、EC2インスタンスが停止しても消失しません。
バックアップ機能
EBSスナップショットを利用して、データのバックアップと復元が簡単に行えます。
IOPS・スループットとは
基本的にEBSストレージタイプではIOPSやスループットを指標に書かれています。
用語が全くわからないという方に簡単に説明します。
IOPSは1秒間に何回の入出力処理が行われるかを表す指標です。
ここでは、簡潔に書くと「データの読み書き回数」です。
スループットは1秒間にどれだけのデータ量(MB/秒)を転送できるかを表す指標です。
ここでは、簡潔に書くと「データの転送量」です。
大体ですが、以下を目安にするといいです。
- Webサーバー:IOPS 500~3000, スループット 100~250MB/s
- 中小規模データベース:IOPS 3000~10000, スループット 125~250MB/s
- 大規模データベース:IOPS 10000~64000, スループット 250~1000MB/s
- 動画や大容量ファイルの転送:IOPS 500~1500, スループット 250~500MB/s
- ビッグデータ処理・分析:IOPS 500~2000, スループット 500~1000MB/s
EBSストレージタイプ一覧と用途
EBSで提供されている各ストレージタイプの特徴と、どの用途に適しているのかをわかりやすくまとめます。
ストレージタイプ | 特徴 | 最大性能 | 用途 |
---|---|---|---|
汎用SSD(gp3) | コストと性能のバランスが良いSSD | IOPS: 最大16000 スループット: 最大1000MB/s | Webサーバー、開発環境 |
汎用SSD(gp2) | 旧世代の汎用SSD。ストレージサイズに応じてiops変動 | IOPS: 3IOPS/GB、最大16000 スループット: 最大250MB/s | Webサーバー(コスト効率を重視しない) |
プロビジョンドIOPS SSD(io1/io2) | 高いIOPSと低レイテンシーが求められる | IOPS: 最大64000(io2) スループット: 最大1000MB/s | データベース、OLTPアプリケーション |
スループット最適化 HDD(st1) | 大容量で高スループットのHDD | IOPS: バースト時最大250 スループット: 最大500MB/s | ビックデータ分析、ログ保存 |
Cold HDD(sc1) | コスト重視のHDD。アクセス頻度が低い場合に活用 | IOPS: バースト時最大80 スループット: 最大250MB/s | アーカイブ、バックアップデータ |
汎用SSD(gp3/gp2)
gp3は新しい世代で、コスト効率が高く、IOPSやスループットをストレージサイズ関係なく柔軟に設定することができます。
gp2はサイズに比例してIOPSが増えますが、gp3と比較して柔軟性が低いです。
プロビジョンドIOPS SSD(io1/io2)
io2は耐久性が高く、大規模なデータベースや高負荷のアプリケーションに最適です。
IOPSが最大64000までプロビジョニングできて、安定した性能が保証されます。
スループット最適化HDD(st1)
大容量のデータの連続読み書きに最適でログ保存やデータウェアハウス等でよく使用されます。
IOIPSは低いですが、スループットが高いことが特徴です。
Cold HDD(sc1)
アクセス頻度が極端に少ないアーカイブ向けストレージで、最も低コストです。
スループットやIOPS性能は低いですが、データ保存コストを最小限に抑えたい場合におすすめです。
EBSストレージタイプの設定手順
EBSボリュームの作成方法をご紹介します。
「EC2」の左メニューにボリュームを押下して、「ボリュームの作成」をクリックします。
希望のパラメータを入力して作成したらEBS自体を作れます。
今回はデフォルトの設定のまま設定していきます。
※アベイラビリティーゾーンは作成予定のEC2インスタンスと同じ場所に設定しましょう。
作成したら以下のように使用可能のボリュームができていると思います。
ボリュームの詳細画面からボリュームのアタッチを行う場所があるので、クリックするとEC2のインスタンスIDを設定する欄が表示されます。
対象のインスタンスIDに設定したらEC2インスタンスにEBSボリュームの割り当てができます。
まとめ
EC2インスタンスのデータ保存に使用するストレージサービスで、用途や性能要件に合わせて複数のストレージタイプが選択できます。
- 頻繁にアクセスするデータ → gp3(汎用SSD)
- 高いIOPS性能が必要なデータベース → io2(プロビジョンドIOPS)
- 大容量データの連続転送 → st1(スループット最適化HDD)
- 低コストでアクセス頻度が低いデータ → sc1(Cold HDD)
この記事を参考に各EBSストレージタイプの特徴を理解して、コスト効率のいい構築を行ってください。